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ありがちだから奇跡

why can't take my eyes off you

ある春のおはなし

 

春は、出会いの季節であり、別れの季節でもある。それはきっと、入学があったり、卒業があったり、入社があったり、様々な区切りがあるからだ。

 

わたしは、春は好きだ。自分が春生まれということもあるし、春のあたたかな陽は心もあたたかくしてくれるから。ただ、わたしは比較的キツメの花粉症で、マスクと空気清浄機と薬が手放せない。外出先のトイレで鼻をかむのも、ティッシュの圧倒的消費量も、もう慣れたものだけど、やっぱり辛い。花粉症になってもう5年ほど経つ。花粉症のない春はどれほど美しいんだろうと、思う。

 

 

わたしの好きな人は、「春は苦手です」と言った。

 

春を苦手という人は、あまり聞いたことがなかった。春は、あたたかくなってくるから好きだよ、とか、ただ花粉症がイヤだな、とかは聞いたことがある。私も含めてそうだ。だが彼は、春は苦手と、言った。

 

余談だが、元KAT-TUN田口淳之介くんは脱退直前、Johnny's webにて「春カモン」という文字と共にイラストを披露した。1年経った今でも忘れられない。私は泣いた。何がカモンだよ。春が来て欲しくない、と心から思ったのは初めてだった。

 

春はとても大きなもので、今まで積み上げてきたものが報われたり、卒業を決意したりする季節だ。

 

田口くんは、ある秋、突然私たちとKAT-TUNに別れを告げて、次の春にいなくなってしまった。あの秋の赤いコートはまだ目に焼き付いている。あの日、私は泣いた。たくさん泣いた。当時の私はまだKAT-TUN担を名乗っていなかった。こんなに涙が出るくらい、わたしはKAT-TUN田口淳之介が大好きだったんだなとその時気づいた。彼は今は歌手として活動しているが、なんでKAT-TUNじゃだめだったの、と思ってしまう。私みたいなオタクは面倒くさくて嫌だ。ただ、彼が選んだ道だから、ただのオタクがどうこう言うことではない。言うことではないんだけど。やっぱり言いたいじゃん。私はKAT-TUN田口淳之介が大好きだったんだよって。私は新規ファンのガキだから、昔のことはリアルタイムで知らないけど、でも、大好きだったんだよって。そう言わせてくれる時間をくれたのは本当に有難かった。

 

 

 

私の好きな人。関西ジャニーズJr.の向井康二くんは、いつも私たちファンを笑わせてくれて、同じJr.達にふざけて甘えたり、人のギャグを持ちネタにしたりするけど、真剣な顔で仕事をしていて、その眼が本当に美しい人だ。私は彼の瞳を見て堕ちた。私は今となっては沢山担当が出来てしまったけれど、実際に番協に行くまで魅力を感じなかった彼の眼を見て好きになった、なんて、綺麗な堕ち方をしたのは彼だけだ。だから私は彼に対して個人的に特別な想いがある。

過去に囚われるようなオタクにはなりたくないと思っているが、すこし囚われてしまっているところもある、面倒くさいオタクは私だ。

 

今はしっかり者の彼も昔は泣き虫だった。トイレが僕の友達だったと言う。

 

キットカット事件をご存知だろうか。

当時、関西Jr.の平野紫耀くんが、仲間の写真を入れたキットカットを発注した。出来上がったキットカットを紫耀くんは嬉しそうに康二くんに渡した。どんな反応が返ってくるかと期待していると、康二くんはありがとう、とパッケージを見もせず、普通に机に置いてしまった。6人の写真に気づかなかったのだ。紫耀くんは怒った。そして康二くんを避けた。康二くんはなぜ避けられているのか分からなかった。話しかけても無視された。そして金内柊真くんに相談をした。そこで康二くんは事情を知って、泣いた。柊真くんに慰められた紫耀くんも泣いた。2人で大泣きして仲直りし、本番3分前、目が腫れたまま本番に向かったという。

 

その3人のグループを、Kin Kanといった。

Kin Kanの由来は、“King of Kansai”。関西の王、である。

 

 

彼は、春が苦手という。 

春は、出会いの季節でもあるが、実際は出会うことが難しい。これまでのものを心の引き出しに閉じ込めないと、出会いは得られない。得ていても気づくことが出来ないのだと思う。

 

関西に限らず、ジュニアはいち芸能人なのに、何の前触れもなく、突然姿を消してしまう。

  

Kin Kanのひとりは、今、美容師になっている。春から渋谷のサロンで勤めだしたようだ。彼の様子はTwitterやインスタグラムで知ることが出来る。オシャレで綺麗なお兄さんになっていた。昔の仲間に迷惑かけるようなことは言わないから期待しないで、とキッパリ明言した。社会人として出来すぎている。彼はそっと過去を引き出しにしまったのだろう。美しいままの引き出しに。私もいつか、そのサロンに行ってみたいと思う。

 

Kin Kanのもう1人は、今、ジャニーズJr.として東京で頑張っている。奇しくも「KING」である。同じように関西で活動していた「なにわ皇子」の永瀬廉くんと共に。彼も美しい過去のことをそっとしまったのだと思う。だが今でも、まいジャニや雑誌等で康二くんと共演した時は、2人ともとてもとても嬉しそうな表情をする。これはファンだからではなくてきっと、誰が見ても嬉しそうな顔をしていると思う。この笑顔は、世界を救えると本気で思った。

 

そして、残るKin Kanの1人は、今、関西Jr.のメインとして関西Jr.を引っ張っている。慕ってくれる後輩が出来、後輩がいけないことをしたら怒れるようになり、舞台ANOTHERではしっかり者で弟想いの兄を熱演した。その役の通り、彼はみんなの頼れるお兄ちゃんとなっている。

しかし彼は、かつて同じJr.として「ムエタイ向井ブラザーズ」というコンビを組んだお兄さんのいる、末っ子である。末っ子が、今の関西Jr.では頼れるお兄ちゃんである。

 

 

彼は、春は苦手という。

いつか彼にとって、春が好きな季節になればいいなと、いちファンとして願っている。桜の季節だ。私は明日、お花見に行く予定を立てている。そんなあたたかい日常が楽しみだ。康二くんは、お花見はもうしたのかな。